貨幣は身近なものですが、どのように定義しますか?貨幣の形態は時間の経過と共に変化してきました。歴史的に貨幣として使用されたものの例として、石の他に、さまざまな形と大きさの金と銀などの金属が挙げられます。現在では、暗号通貨を貨幣の一形態に挙げる人もいますが、貨幣か投資資産かは、なお議論の余地があります。
Investopediaでは貨幣を総体的に次のように定義しています。「貨幣とは経済における交換取引で一般に認められた媒体の役割を果たす経済単位です。貨幣は「2つの欲望の偶然的一致」という取引コストを軽減する役割を担います。貨幣は元来、商品形態をしており、市場参加者が交換媒体として選ぶ有形資産です。貨幣は、市場決定貨幣、正式に発行される法定通貨(フィアット通貨)、貨幣代替物、信用発行媒体、電子的な暗号通貨などの種類があります。
ただ、通貨の中には、特定の地域で使用されるものがあります。米国株の購入者は通常ドルを使用します。欧州株の購入者は通常ユーロを使用します。基本的に、物の購入には貨幣が必要で、株式も例外ではありません。そこで、「貨幣はどうやって購入するのだろう?」という疑問が浮かびます。回答はずばり、貨幣です。ユーロはポンドで、ドルは円で、円は豪ドルでなど、他通貨を購入できます。皆さんは、通貨が違う国を訪問した時に、外国為替取引を行ったことがあることでしょう。例えば、ユーロ圏に住む人は、支払手段として主にユーロを使用します。ところが、英国に旅行する計画がある場合、英国で買物するには手持ちユーロの一部をポンドに転換する必要があります。この取引には英ポンドの購入とユーロの支払いが伴います。視点を変えると、ユーロを売却してポンドと交換する取引のように見えます。このように、貨幣は主に支払手段としての役割を担いますが、通貨には他通貨建てで表示される交換価値があります。
FX取引では、ある通貨の売却と同時に別の通貨を購入します。売却する通貨の価格は他の通貨ごとに独自のもので変化することから、外国為替(FX)レートが生まれます。FXレート(別名「通貨ペア」)は一定時点におけるある通貨と別の通貨の関係を示します。各為替レートでは、基軸通貨(左側)と変動通貨(右側)という2種類の通貨を比較します。基軸通貨は常に通貨の単一ユニットを示すのに対し、変動通貨の価値は変動し、基準通貨1単位を購入するのに必要な変動通貨の額を示します。
例えば、EUR/USDが1.0975で取引される場合、1ユーロを購入するには、1.0975米ドルが必要です。米国旅行を計画しており、1,000ユーロを両替すると、1097.5米ドルを受け取ります。
翌年、EUR/USDレートが1.1000になった場合、1,000ユーロで1,100米ドル(=1000*1.01000)を購入できます。同額のユーロで、交換可能な米ドル額が増えています。これは、米ドルに対してユーロの価値が相対的に上昇した、逆から見るとユーロに対して米ドルの価値が低下したにことを示します。
為替レートは需要と供給という主要市場原理によって決まります。目標とするのは、売却する通貨に関連して価値が高まると予想する通貨を購入することです。そのため、次のような表現が使われます。「ユーロはドルに対して上昇した」や「円はポンドに対して下落した」
単純に「ユーロが上昇した」という表現も通常正しく、他通貨全般に対しユーロの価値が上昇したことを意味します(一部通貨と比べてユーロが下落したとしても)。例えば、ユーロが米ドルに対して上昇すると同時に、さまざまな基礎要因により円に対して下落することがあります。